府中美術館にカミーユ・クローデル展を観に行った。
世界的に有名な彫刻家・ロダンの弟子にして愛人。
まだ女性が芸術の世界に身を投じるのが珍しかった時代、
自ら望んで彫刻の世界に飛び込んでいった勇気ある女性。
ロダンの彫刻の何割かは彼女の作品ではないかと言われているほど、
実力のあった女性だ。
彼女は女性らしい優美な彫刻を残している。
かと思うと、自分とロダンとロダンの内縁の妻との関係を
そのまま彫刻にしている激しさももっている。
1864年、フランス北部に生まれたカミーユ。
20歳でロダンと知り合い、20代後半でロダンと別れる。
その後、数年は意欲的に芸術に取り組むものの、
次第に奇行が目立つようになり、孤独を深めていく。
そして彼女に理解のあった父親が亡くなると同時に、
家族によって精神病院に入れられ、30年間を病院で過ごして
孤独のうちに死んでしまう。
関係が壊れたのは、ロダンの子を宿し、堕胎したのがきっかけだという説もある。
いずれにしても、彼女は本気でロダンを愛し、
関係が壊れたことによって精神も壊れていったのだろう。
繊細で情熱的で激しい彼女の作品に、彼女の精神は表れている。
カミーユ展は以前にも行ったことがある。
映画も本も読んだ。
なぜか彼女に惹かれる。
20歳のころ、彼女はとても美しい。
ロダンにとっても、彼女は最高のミューズだっただろう。
だがロダンと別れた30歳のカミーユは、かなり肥満し、
目にも精気がなくなっている。
ロダンに会ったことが、彼女の幸福であり、不幸であった。
どちらがより強いのか・・・。
1943年に亡くなった彼女。
亡くなってすでに63年がたつ。
今、日本でこのような展覧会が催されていることを
彼女はどう思っているのだろう・・・。