夜のドキュメント番組で、集団自殺への願望をもつ人々を見た。
親に愛されていなかった記憶から、あるいは自分なんていないほうがいい、という
思いから、「消えてしまいたい」とつぶやく人たち。
リストカットを繰り返し、大量服薬をする女性たち。
見ていて、胸がつまるような思いがした。
と同時に、もしかしたら、愛されていることに対して、すごく鈍感だったり
貪欲だったりする人たちがいるのではないか、という気がした。
登場していたある女性は、母親に愛された記憶がない、という。
だが彼女は、父親とは本音で話していた。父から、母は娘を気にしているという
話も聞かされる。
あれだけ父親と親密に話せるのなら、母との関係にそこまで期待しなくても
いいのではないか、と私などは思ってしまう。
いろいろあって、私は父親とは同居はしていたが、ほとんど口をきいたことがない。
「関係」そのものが、なかったとしか言えない状況だった。
きょうだいとも同様だ。
肉親の間でのみ生まれ、作り上げられる「関係」や、「愛情」というものに、
私は子供の頃から、異常に疑惑を抱いていた。
ま、離婚して未だに一人なのは、そのせいもあるのかもしれないが、
もはや誰のせいでもないとも思っている。
「血」に頼らない関係だって、世の中にはあるはず。
だが、自殺願望の強い人たちは、結局、周りに強く強く愛されたいのではないだろうか。自分が思うような愛され方ができないから、愛されないと思っているのではないだろうか。
もしも、本当に愛されていなかった、という思いが強くても、
それなら、自分が誰かを愛してみればいい。
愛することで死にたくない、と思えるようになるかもしれない。
受け身では人生、つまらないのだから。
だが、死にたい欲求にとらわれている人からみたら、きっと
「ちっともわかってない」ということになるんだろう、ということもわかっている。
それでもやはり、私は思う。「甘えるな」と。
死を考えた人なら、必ず生をも取り入れることができるはずだと思うのだが。
人間って、そんなに弱いものなのだろうか。
やりきれないし、せつない番組だった。同時に腹も立った。