自分のフットワークが重くなってくると、急に不安に襲われる。
もっといろんな場所へ出かけなければ、もっといろいろ見聞しなければ、と
思ってしまう。これって職業病なのかもしれない。
もちろん、感じたり考えたりする時間も必要だけど、
街へ出ていく気持ちも大事。
神楽坂の菊之丞さんの落語会、
三島由紀夫の憂国忌、
そして松竹110周年祭の古い映画『乾いた花』、
今週はよく出かけた。
憂国忌は、やはり35年という時間の長さを思い知らされた。
このところ、関連本も含めて、ずっと三島の本を読んでいるけれど、
やはり彼の精神性をどこまで理解できているかわからない。
今日読んだ、『回想 回転扉の三島由紀夫』(文春新書)にはちょっと驚き。
学生時代からその評を信頼していた劇作家・評論家の堂本正樹氏が
三島との関係を告白しているからだ。
これはなかなかリアルで、なおかつ冷静、客観的な筆致で、
それゆえに迫力がある。
どんな三島の素顔を見せられようと、やはりその文学的魅力は失われない。
もちろん、人としても・・・。
三島のあらゆる美学は、その弱さをも内包しているが。
映画『乾いた花』は、1964年、篠田正浩監督作品。
音楽が武満徹、というのにまたびっくり。
若き日の池辺良、加賀まりこ主演。
若さゆえ、無軌道ゆえの空虚な生、にちょっと落ち込む。
そういえば若い日の私も、「しらけて」「空虚」で「退屈」な日々を
送っていたっけ・・・。
若いことがつらくてたまらなかったなあ、と思い出したりした。
人間って勝手だ。