全生庵に行ってから、再び、私の中で幕末が気になってならなくなった。
新撰組や坂本龍馬にはまったのが、たぶん10年くらい前か。
今日は司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」を上下、一気に読んでしまった。
これは新撰組、中でも土方歳三にスポットを当てた作品。
司馬さんといえば、彼が何かを書くたびに、神保町の古書街から、
そのテーマに関する本がすべて消えたというくらい、資料を大量に集めて
読み込んで書く人として有名だ。
新聞記者であったということ、彼の人となりでもあるのだろう、
書き方は公正中立で、なおかつ登場人物を見る目が優しい。
そんなところが人気がある理由だろう。
土方歳三という人は、どういう人だったのか。
百姓上がりで武士になりたくて、最後は武士になったけど、
結局は「喧嘩師」として死んでいく。
新撰組という部隊を強いものにしていくのが目的ではあったけど、
結果的には天下国家の行く末を見通すことはできなかった。
今回読んで印象に残ったのは、「お雪」という女性の存在。
もちろん、「燃えよ剣」は小説だし、司馬さんという作家は、
資料と虚構の間を埋めていくのがきわめてうまい人なので、
どこまでが真実かわからない。
ただ、京の女性になじめず、お雪という江戸出身の女に、
生涯唯一の「恋」をした歳三。
ふたりが最後の逢瀬をかわすところなど、思わず号泣してしまった。
これが史実であればいいなあ、と思う。
新撰組が歴史に果たした役割がどれほどのものなのか
よくわからない。
むしろ歴史や幕府に翻弄され、利用された、
エネルギーあふれた若者軍団というイメージが強い。
もう少しの間、幕末に浸ってみよう・・・。