「人生劇場」のDVDを買って観た。
いやー、感動感動!
私は任侠ものがけっこう好きで、高倉健の「昭和残侠伝」は全部観ている。
「仁義なき戦い」になるとちょっとついていけない。
暴力団ものではなく、任侠ものが好きなのだ。
そのふたつは似て非なるもの。
今回の「人生劇場」は、尾崎士郎原作の映画化。
いくつか映画化作品はあるようだが、1972年公開のもので、
竹脇無我、田宮二郎、高橋英樹、渡哲也、倍賞美津子などが出ている。
たまんないんだわー、あの男の世界。
そしてそこにからむ女たち。
男が生きて、女が息づいている感じ。
主題歌はかの有名な美空ひばりで、これがまたいいところで歌になる。
「や〜ると思えば〜、どこま〜で〜やるさ〜」
女は男に惚れると弱いようで強くなり、
男は女に惚れると強いようで弱くなる・・・と見た。
それでも惚れ合った同士の縁は巡り巡ってまたつながる。
男の執着と女の執着の微妙な違いとか、
義理人情の確かさとか。
まさに日本の美学である。
ベタな感じから、若い人たちはいやがるのだろうけれど、
私は昔から「義理人情」という言葉が好きだ。
よく親から、「義理欠く、人情欠く、恥かく」と言われた。
義理人情をないがしろにすると、最後に恥をかくのは自分だよ、と。
古い世代が集う政治の世界でさえ、もはや義理人情なんて
言ってられない世の中になっているが、
私は逆に、今の時代だからこそ、義理や人情を大事にする文化が
再認識されてもいいのではないか、と思う。
義理や人情を大事にする、ということは、
べたべたになれ合うこととは違う。
すべて「筋」を通す、ということだ。
任侠ものには、「やっていいことといけないこと」が
非常にわかりやすく綴られている。
渡世もんの映画等で、よく「一宿一飯の恩義」という言葉が出てくる。
私もかなりこの言葉に支配される。
たとえコーヒー一杯でも、立ち食いそば一杯でも、
人が働いて得たお金でおごってもらうというのは
実は大変なこと。
そのたびに「一飯の恩義」と思ってしまう。
もし、それに見合うお返しをしたとしても、その「恩義」は
消えたことにはならない。
お返しはお返し、恩義は恩義。
仕事でも私生活でも、いろいろな人に
協力してもらったり、支えてもらったりすることが多い。
私には何ができるのだろう、とそのたびに考えるけれど、
何もできないことが多くて・・・。
損得感情抜きで、義理人情を重んじる世の中・・・に
もう一度、近づくことはできないのだろうか。