今日もフェニーチェのオペラ「椿姫」へ。
このオペラ、いったい何回生で聴いていることやら。
おそらく、いちばん数多く聴いているだろう。
それだけ好きなオペラでもある。
今回は、初演版という珍しい版。2幕目以降、随所で聴き慣れない旋律があったが、
むしろ初演版のほうがいいのでは、と思えるような美しい旋律だった。
ヒロイン・ヴィオレッタにはパトリツィア・チョーフィ。
美声、美貌で、かつ演技派。なかなか素敵なヴィオレッタだった。
アルフレードのサッカも、一幕目は調子が出なかったようだが、
それ以後は随所に美声。
演出はカーセン。これがねえ・・・。
果たしていいのか、これで。
金、というものを主に描いているのだが、金が人生を左右する、というところまで
踏み込めていない。
だって、ヴィオレッタは金のために彼と別れたわけではないのだから。
そのヒロインの「意気」と、演出家の意図が合ってないんだなあ・・・。
身を引くことで愛を立証するという方法は、
現代ではあまりないことかもしれないが、
舞台で観ると、やはりその女性の心意気(一方で、過去に道を踏み外したら
もう許されないのか、という命題もある)が感じられて、せつなくて泣けてしまう。
やはり、このテーマがある限り、金をテーマに持ち出すのはちょっと無理があるなあ。