今週は後半特に、比較的ゆっくり過ごした。
演舞場の「もとの黙阿弥」、そして菊之丞さんの落語会へ。
「もとの黙阿弥」は20数年前に初演だったそうな。
私はそれを見ていて、すごくおもしろかったという記憶があった。
だが、今回は・・・うーん、時代の流れか、私の感性が鈍くなったのか、
初演時よりおもしろいとは思えなかった。
今見ると、失礼ながら、初演時は役者の格が違う。
菊之丞さんは2席。
「元犬」と「妾馬」。
どちらも大好きな話だし、どちらもすばらしかった。
もうちょっと緩急をつけたほうがいい、と思える箇所もあるのだが、
(特に妾馬の殿様のくだりなど、ほんのもう少し間があってもいいような)
それでも酔っぱらった八五郎などはとってもうまい。
おふくろに子供を見せてやってくれ・・・のくだりは情もたっぷり。
落語と音楽の宵、ということで、
音楽のほうはシンガーソングライターの江戸賀あい子さんの舞台。
この人が、また素晴らしくいい声だった。
伸びやかで明るい歌い方ながら、声にせつなさがある。
人生、酸いも甘いもかみ分けた大人の声、そして大人の歌い方。
「PASSION」というCDも出ているので、ぜひ聞いてみてほしい。
内に強い情熱と、どこか純粋さを秘めた大人の歌であり、
大人の歌い手である。
大人ってなんだろう・・・と人生半分以上すぎてしまった
私は考えることがある。
自分を大人だとは思えない。
子供を育てるという経験をしていないから、やはり自分自身を
育て切れていない面があるように思う。
それでも、子供のころの小ずるさと純粋さをひきずったまま
大人になってきたのだなあ、と感じることがある。
小ずるさは分別、という表現方法を覚えたのかもしれないが、
純粋なところというのは、意外とさらに純化されているのかも。
自分なりにいろいろなことを経験してきたと思うけど、
この年になって、自分自身の原点に戻れているような気がしている。