ようやく新しい本を書き始めた。
少し取材を追加したりしていたのと、生来の怠け癖で
なかなか取りかかれなかった。
実は取りかかろうと決めてから、実際に取りかかるまでが
けっこう苦しい。書き始めも苦しい。
途中で楽しくなって、最後がまた苦しい。
でも、私なんかにいろいろ話してくれた人たちの気持ちに報いるためにも
なんとかがんばろう、という気持ちが支えになる。
ときどき、いくつまで恋愛ができるのかなと思うことがある。
二十代のころ、四十代の女が恋愛なんかできるはずがないと思っていた。
だが、自分が四十代になってみると、
とりあえず現役でいるという現実がある。
こんなことをフランス女性に言ったら、きっと笑われるだろう。
大好きなフランスの女性作家は、うんと年下の恋人と来日してたし・・・。
もしかしたら、日本人の感覚だと、恋していたいは「愛されたい」に
つながるのかもしれない。
だから不安になる。いくつまで恋できるんだろうなんて思ってしまう。
でも、恋愛はやはりひとりではできないわけだし・・・。
ひとりで生きていく覚悟、というのはできてはいるのだが、
それはあくまでも「恋愛している」こととは切り離せなかった。
恋愛しながら、ひとりで生きていく、と思いこんでいたのだ。
だけど、本当にひとりぽっちになる可能性もあるんだなあ、と
夫ナシ、子ナシの私は最近、つくづく思う。
とはいえ、「家族」を作りたいとは思わないし、今さら作れもしない。
もちろん、年とっても、きっと友だちはいるだろう。
でも友だちは「恋人」とは違う。
あれやこれや答の出ないことを考えてしまう。
こうやって、とりとめもないことを考えるのは、
原稿から逃げたいからだ、と今、気づいた。