あの日のあの時間、私はニュースステーションを見ていた。
まだ久米宏が進行をしていたころ・・・。
番組の最後、いきなりワールドトレードセンターに飛行機が突っ込む映像が流れた。
映画のようだった。
その数か月前、私は久々にニューヨークに行ったばかりで、
まだあの街の躍動感が身体に残っている状態だったから、本当に驚いた。
あれから5年。
この間のアメリカの対応には、やはり賛同しかねるけど、
あのときのアメリカの人々の気持ちは察するにあまりある。
つい先日、「ユナイテッド93」を観た。
ワールドトレードセンターに突っ込んだ2機、ペンタゴンに突っ込んだ3機目、
そしてひっそりと墜落した4機目。
その4機目の機内の様子を描いた映画だ。
特にテロリストを声高に非難するわけでもなく、
かといってアメリカ人を声高に誇らしく語るわけでもなく、
淡々と「あの日のあの機内」が描かれている。
いちばん驚いたのは、管制官や軍人たちに、当の本人たちが出演していること。
何を思って出演したのか・・・。
あの4機目を忘れないでほしい、ということなのか。
飛行機がレーダーの範疇から消え、それがいつのまにか
マンハッタンに現れてビルに突っ込む、しかも2機も。
というところから、管制塔や軍のパニックが始まる。
誰も、一体何が起こったのか把握できない。
なんだかわからない、だが、何か飛んでもないことが起こっている。
そのときの人々の現実感のなさのようなものだけは、
とてもうまく描かれていた。
あんなことは起こってはならない。
あんなふうに人が殺されるのは理不尽すぎる。
だが、報復の連鎖もまた、どこかでやめさせなければ。
ワールドトレードセンターの救助の模様を映画化した作品も
10月に公開される。