No.99の記事

珍しくものを考える・・・

今日は仕事を適度にかたづけて、本を読んだ。
「剣と寒紅」という、三島由紀夫とこの本の著者との交流の物語だ。
たまたまある人と三島の話になり、三島自身の著作と同時に、
関連本であるこの本も読んだ、というわけ。
私にとって、三島由紀夫という人は特別な作家だ。
高校生のころ三島にはまり、登校拒否になった。
飛躍があるような文章だが、つまりは三島の「死の美学」に
はまってしまったといっていい。
ずっと死んでしまいたい、と思っていたし、死の時期を選ぶ権利がある
などとも思っていた。それには高校など必要なかった。
だが、私はあのとき確かに、死の誘惑にとりつかれながら生を選んだ。

その後も三島は大好きで、純粋に文学として読み、
いろいろ考えさせられてきた。
このところ、少し離れていたのだが、再び接するタイミングが
きたということのようだ。
気づいたら、三島は今の私と同じ年で、あの事件を起こし、
割腹自殺をしたのだった。35年前になる。
彼は何を求めていたのだろう。
男らしく、武士として死にたかったのだとしても、
そこへ至る彼の心のプロセスは、どんなふうだったのか。
考えてもしかたのないことなのだが、同じ年齢でああいう死に方を
したと思うと、なぜか気になってしかたがない。

私は運命も宗教も信じていない。
この人と会うために、あの人と別れたのだ、というような
考え方はあまり好きではない。
だが、確かに人生においては、
出会うべきときに出会うべき人に会ってきた、と思う。
「運命」に浮かれたりはしないけど、どんな「縁」も
やはり大事にしたい、と感じている。